インドネシアのドライバー
さてフェリーが着いたドゥマイからバイタクで市内のバス乗り場まで連れていってもらった。途中SIMを入れるのだったらこの店がいいと、気を利かせて携帯電話屋さんで停車。結構流暢な英語を喋るおじさんだったので助かった。船内でも販売していたが、
高いだろうと敬遠していたので早速SIMを購入。ラオス、ベトナム、カンボジアでは
あまり必要性を感じなかったので購入しなかったが情報が少ないインドネシアでは何が
幸いするか分からないので購入。スマホは通信出来ないとただの表示機でしかない。
マレーシアとは1時間の時差があるので1時間ほど時間を戻すとインドネシアでは11時過ぎになっていた。バス乗り場はターミナルではなく、家族経営の個人商店だった。
娘だろうと思われる3人が、何でもめたか知らないが一番下の子が地面に座り込んで
泣きべそをかいていた。何か上げられるものをと考えたら子供用のメモ帳があったので
無理やり押し付けるようにしてあげた。
最初は興味なさそうにしていたが次第に熱心に見始めた。どうにか機嫌を直してくれた
ようだ。
バスは2時に出発するという。これまでの乗り合いバスは時間が決まっておらず、定員になったら出発するというシステムだったので時間が決まっているというこには驚いたがこちらとしては有難い話だ。定刻の15分前に出発するという。尚更結構だ。
乗客は5人。あと二人ほど乗れるが出発した。案の定、途中で1人乗ってきた。あと1人はと思っていたがとうとう6人でペカンバルまで行った。
道は片側1車線でオレンジの線ではみ出し禁止になっているが、遅いトラックがいると
平気で反対車線に出て追い抜く。この光景はイエメンやパキスタンで散々イヤというほど見てきた。テーマパークの下手な絶叫マシーンよりスリルがある。なにせ命の保障は
ないのだから。正面衝突寸前で元の車線に入っていく。これが何とも絶妙なタイミング
でやってのけるもんだから見ていて飽きない。眠れない。緊張で体が硬くなっている。
気がつくと身体のどこかに力が入っているのに気がつく。これが5時間も続く。途中、
休憩にしては早いなと思ったらお祈りの時間で乗客数人とドライバーがプレイルームで
お祈りしていた。サウジでも空港に向かう途中でそんな事があった。
順調に進んでいると思ったらいきなり渋滞停車。山の中というより高原の1本道といったほうがいいような道路で勿論抜け道などない。暫くすると反対車線の路肩、即ち反対
車線の更に向こう側を救急車がこちらと同じ進行方向に走っていった。これを見た我が
ドライバーは意を決したかのように同じ所を走り出した。と思ったら直ぐに大きな穴に
タイヤを取られてスタックした。乗客が降りて車を押す。直ぐに抜けることができたが
相変わらず渋滞に大人しく並んで待っているドライバーではない。何と対向車が来ない
のをいいことに、反対車線を走り出した。これに続く後続車もいて2車線道路と化した。しかしいつまでも対向車が来ない訳がない。遠くに見えたと思ったらすかさず元の
車線に割り込む。後続車は知らずにそのまま反対車線を逆行。当然対向車が大きなクラクションを鳴らす。適当な割り込みが出来る所がないと反対車線も渋滞。何ともカオス
な状態となってしまった。こんなインドネシアの洗礼を受けても無事ホテルまでバスは
送ってくれた。とても労働に見合った料金ではない。6時間近く走って120円ほど。
掛ける乗客の人数だがそれでも1000円に満たない。下りた時に思わず10万ルピア
約760円を子供たちにと言って渡した。決して多い金額ではなかったがそうせずには
いられなかった。そんなインドネシアの初日でした。